今年は1月および10月に育児・介護休業法の改正が行われました。1月に施行された改正内容は、家族の介護に関するものが中心であり、これまでの対象家族ひとりにつき原則1回、通算93日までの取得に限られていた介護休業が、3回を上限として分割取得できるようになりました(取得可能日数の93日までについては変更なし)。また、対象家族の範囲も、従来設けられていた祖父母、兄弟姉妹、孫についての同居および扶養要件が廃止され、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫となっています。
介護休業を取得している期間については、ノーワークノーペイの原則に基づき、働いていない期間に応じた賃金を支給する必要はないため、多くの企業が無給で対応していることと思います。そして、この賃金が支給されない期間に対して、一定の要件を満たした雇用保険の被保険者には、介護休業給付金が支給されることになっています。
介護休業給付金についても、育児・介護休業法の改正にあわせて雇用保険法が改正され、3回に分割して給付を受けることができるようになりました。給付を受けるためには、支給されるための要件を満たしているかの確認と、介護休業給付金の金額を決定するために賃金登録を行い、介護休業が終了するたび申請することになっています。なお、介護休業給付金の額は、ハローワークで行う賃金登録手続きにより決定する、休業を開始するときの賃金日額の67%です。
介護休業と育児休業は似通った点も多いのですが、介護休業期間中の社会保険料の徴収は育児休業期間中と異なり、免除となりません。賃金が支給されないときには、本人負担分の社会保険料をどのように回収するのかも事前に決めておく必要があります。
介護離職の問題が大きくメディアで報道されるようになり、家族の介護をする従業員も増加してくることが予想されます。介護は長期化することもあり、介護休業が取得できる期間を法定よりも長く設定する企業もあるかと思いますが、法定を超えた期間については、公的な所得補償がないことから、従業員が誤った認識をしないよう、事前に制度の仕組みを伝えておきたいものです。
■参考リンク
ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。