新卒の採用を行うときに初任給は重要な要素のひとつであることから、その相場は意識しておきたいところです。そこで今回は先日、厚生労働省が公表した「賃金構造基本統計調査(初任給)」の結果をとり上げましょう。
1.平成29年の学歴別初任給
この調査は、10人以上の常用労働者を雇用する民間の事業所を対象に行われたものです。有効回答を得た事業所の中で新規学卒者を採用した15,903事業所のうち、初任給が確定している15,378 事業所について集計しています。
まずは学歴別の初任給を見てみると、すべての区分で増加しており、男女計については大学卒と高校卒ともに過去最高となっています。また、初任給の推移(男女計)をグラフで確認すると、図1、2のとおり、過去4年連続で前年を上回っている状況にあります。
(1)男女計
大学卒 206.1千円(対前年比1.3%増)
高校卒 162.1千円(対前年比0.5%増)
(2)男性
大学卒 207.8千円(対前年比0.9%増)
高校卒 164.2千円(対前年比0.4%増)
(3)女性
大学卒 204.1千円(対前年比2.1%増)
高校卒 158.4千円(対前年比0.8%増)
2.平成29年の企業規模別初任給
次は企業規模別で見てみると、以下のようになっています。企業規模により初任給に違いはあるものの、大学卒と高校卒ともに前年を上回っています。なお、企業規模の定義については、常用労働者1,000人以上の企業を大企業、100~999人の企業を中企業、10~99人の企業を小企業としています。
(1)大学卒
大企業 211.0千円(対前年比2.0%増)
中企業 202.5千円(対前年比0.7%増)
小企業 199.6千円(対前年比0.3%増)
(2)高校卒
大企業 164.0千円(対前年比0.1%増)
中企業 160.7千円(対前年比0.7%増)
小企業 162.3千円(対前年比0.7%増)
初任給が前年を上回る状況となっており、既存の従業員とのバランスを取るために既存の従業員の給与を見直す事業所もあります。新卒の採用予定がない事業所も、既存の従業員が給与額の違いから転職を希望するようなことのないよう、初任給の相場も意識しながら給与額を設定する必要があります。
■参考リンク
厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/17/index.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。