深刻な人材不足の時代になっており、有効求人倍率を見ると1.52倍(2017年9月分)とバブルを超える水準が続いています。そのため、採用に苦戦している企業も多いのではないでしょうか。この求人募集に関しては来年1月に改正職業安定法が施行され、労働条件明示等の取扱いが変更となります。ここでは、その改正のポイントについて確認しておきましょう。
1.労働条件の明示が必要となるタイミング
今回の法改正に伴い、求人募集を行う際に、当初明示した労働条件の変更等を行う場合には、その内容を明示することが求められるようになります。この変更等には、変更の他に、特定、削除、追加が含まれます。特定の例として、求人票に「月給20万円~25万円」と月給の範囲を示しており、面接後等に「月給22万円」として賃金を支払うことを決定した場合、これは「特定」に該当し、改めて確定後、可能な限り速やかに求職者に明示が必要になります。
この明示は書面の交付で行うことが原則であり、求職者が希望する場合には電子メールでも可能とされています。
2.最低限明示しなければならない労働条件等
労働者の募集や求人の申込みの際には、以下の項目を原則、書面の交付によって明示しなければならないとされています。
・業務内容
・契約期間
・試用期間(※)
・就業場所
・就業時間
・休憩時間
・休日
・時間外労働の有無
・賃金に関する事項
・加入する社会保険
・募集者の氏名または名称(※)
・派遣労働者として雇用するときにはその旨(※)
今回の法改正に伴い、※が追加されたほか、以下の内容の明示も求められることになります。
・裁量労働制を採用している場合は、その旨
・いわゆる固定残業代を採用している場合は、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金に係る計算方法、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働についての割増賃金を追加で支払うこと等
実際に入社してみると、採用面接のときと話が違うとトラブルになるケースがあることから、事前に書面で確認することが求められています。また、特に固定残業代については、トラブルになる可能性がより一層高いことから、明示内容を確認するとともに、求職者へ説明をするなどして、理解した上で入社できるようにしたいものです。
■参考リンク
厚生労働省「平成29年職業安定法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172497.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。