新卒入社に関して「七五三」という表現が用いられることがあります。これは新卒者の離職率を表したものであり、入社3年以内に、中学新卒者(中卒)の7割、高校新卒者(高卒)の5割、大学新卒者(大卒)の3割が退職するという意味です。この離職率に関する最新のデータが、9月に厚生労働省より公表されましたので、取り上げたいと思います。
1.高卒・大卒の新卒後3年以内の離職率
高卒と大卒の離職率をみてみると、高卒の新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率(以下、「新卒後3年以内の離職率」という)は40.8%と前年(40.9%)より0.1ポイント減少した一方、大学の就職後3年以内の離職率については32.2%と前年(31.9%)より0.3ポイント増加しました(いずれも平成26年3月卒業者)。高卒はいわゆる七五三の5割までは達しないものの、大卒より高い割合で離職していることが分かります。
2.事業所規模別の新卒後3年以内の離職率
この離職率を事業所規模別にみてみると、高卒、大卒共に事業所規模が小さくなるほど、離職率が高くなっていることが分かります(図1、図2参照)。そして、従業員数30人未満の事業所については離職率が5割を超え、5~29人の事業所では高卒の新卒後3年以内の離職率が56.4%、大学の新卒後3年以内の離職率が50.2%となっています。
売り手市場のなか、新卒者の採用に力を入れている企業も多いかとは思いますが、上記のような割合で多くの新入社員が3年以内に離職に至っていることを考えると、企業としては、離職の原因を分析し、新卒者が定着するよう職場環境を改善したり、教育制度を充実させたりするなどして離職防止策を行いたいものです。また、中途採用をメインに行っている企業についても、同様に定着に視点をおいた施策が求められます。
■参考リンク
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)を公表します」http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。