11月に実施される過重労働解消キャンペーン

働き方改革は具体的な法改正に向けて動き出しており、先日、厚生労働省は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の答申を公表しました。衆議院解散により、予定されていた臨時国会への法案提出が延期されるという話もあり、施行時期の見直しなどもあるかも知れないという状況ではありますが、今後、働き方改革の実行・実現のために長時間労働の是正に向けた取組みが強化されていくことは確実です。そうした取組みの一つとして、今年も11月に労働基準監督署の重点監督を含む過重労働解消キャンペーンが実施されることとなりました。

1.過重労働解消キャンペーンとは
このキャンペーンは、2014年11月に施行された「過労死等防止対策推進法」において、11月は「過労死等防止啓発月間」とされたことから実施されるものであり、過労死等の一つの要因である長時間労働の削減等、過重労働解消に向けた集中的な周知・啓発等の取組として行われています。

2.過重労働解消キャンペーンの実施内容
キャンペーンの主な内容は以下のとおりとなります。

(1)労使の主体的な取組の促進
使用者団体や労働組合に対し、長時間労働削減に向けた取組に関する周知・啓発等について、厚生労働大臣名による協力要請を行い、労使の主体的な取組を促進する。また、都道府県労働局においても同様の取組を行う。
(2)労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問の実施
都道府県労働局長が長時間労働削減に向けた積極的な取組を行っている「ベストプラクティス企業」を訪問し、取組事例をホームページなどを通じて地域に紹介する。
(3)重点監督の実施
長時間の過重な労働による過労死等に関して労災請求が行われた事業場や若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点的な監督指導を行う。
(4)電話相談の実施
「過重労働解消相談ダイヤル」(無料)を全国一斉に実施し、過重労働をはじめとした労働条件全般にわたり、都道府県労働局の担当官が相談に対応する。
実施日時:2017年10 月28日(土) 9:00~17:00
過重労働解消相談ダイヤル:0120-794-713

3.具体的な重点監督の内容
2の(3)の重点監督においては、時間外・休日労働が時間外・休日労働に関する協定届(36協定)の範囲内となっているか、賃金不払残業がないかといった事項が重点的に確認されます。また、不適切な労働時間については労働時間を適正に把握するように指導し、長時間労働者に対して医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるように指導が行われることになっています。
この監督指導の結果、企業名が公表された場合や、1年間に2回以上同一条項の違反について是正勧告を受けた場合には、ハローワークにおける新卒者等を対象とした求人が一定期間受け付けられないことになっています。また、この取扱いは職業紹介事業者や地方公共団体に対しても、ハローワークと同様の取扱いを行うよう要請されています。

今年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され、労働基準監督署はこのガイドラインに基づいて指導を行っています。企業としては改めてこのガイドラインの内容を確認し、これに基づいた労働時間の把握を進めていきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「過重労働解消キャンペーン」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoukijun/campaign2015.html

厚生労働省 リーフレット「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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